「相続土地国庫帰属制度」について研修受講

愛知県犬山市/名古屋市丸の内 の司法書士 丹羽一樹です。
本日は、愛知県司法書士会開催の研修を受講(Zoomにて)いたしました。
2コマ受講したうち1つのテーマが「相続土地国庫帰属制度」についてです。
「相続土地国庫帰属制度」とは
相続土地国庫帰属制度は、2023年4月27日より開始している制度です。
相続土地国庫帰属制度とは、相続により土地の所有権を取得した相続人(遺贈により取得した相続人を含む)が、その土地を手放して国へ帰属させるための申請を法務局に対して行い、法務大臣の承認を受けられれば、国へ帰属させることが可能となる制度のことです。
この制度が設けられた直接的な理由は、相続登記を促すためです。
ここ最近、「相続登記が義務化された」という言葉を耳にされたことがある方も少なくないかと思います。
(相続登記は、2024年4月1日より義務化されました。詳しくはこちら)
それまでは相続登記は義務ではなかったために、亡くなった人の名義のままの土地が数多くなってしまったという背景が有り、それを解消するために相続登記は義務化されました。
「不要な土地を相続(登記)するのは気が進まない」という方も数多くいるため、そのような土地を手放せる可能性を設けるために、相続土地国庫帰属制度が開始しました。
制度開始から約1年半経って
今回の研修では、制度が開始してから約1年半の実際の運用について、現場の法務局登記官からお話を伺うことができました。
率直な感想としては、当初から想定されていたとおり「実際に土地を手放す(国へ帰属させる)のは認められにくい」と感じました。
ただ、極めて可能性が低いということではありません。
これまで、2500件以上申請がされてきたようで、そのうち780件近くが承認されたようです。
また、処理期間は8か月ほどかかるようです。(そのため、申請された件数のうち、まだ結果が出ていない件数も含まれています。)
承認されるためには、相続土地国庫帰属法の定める却下事由・不承認事由に該当しない土地である必要があります。
却下事由・不承認事由は、多数の事由が極めて細かく定められていますが、
まとめて意訳すると「物理的障害や法律的制約のない土地」である必要があります。
つまり、残念ながら、相続人にとって手放したいと考える土地ほど承認されづらいのが現実です。
ただし、実際に承認されるかどうかを自己判断して諦めてしまうのはもったいないですので、相続した土地を手放したいとお考えの方は、一度法務局にご相談されることをお勧めいたします。
「手続きの形式面について」「却下事由・不承認事由について」「承認時に納める必要のある費用について」お答えいただけると思わます。
ご相談される方は、まずはご予約されてからが良いでしょう。
詳しくはこちらのページをご参照ください。
法務省:相続土地国庫帰属制度の相談対応について (moj.go.jp)
*本ブログ記事については、私の勤務する事務所が行っているメール配信にも引用しております。