相続手続の流れと期限|司法書士に依頼できること・できないこと

大切な家族が亡くなると、悲しみに包まれながらも、避けられないのが「相続手続」です。
しかも、相続には期限がある手続が多く、期限を過ぎると選択肢が限られてしまうこともあります。

このページでは、相続財産に関する手続の流れについて説明いたします。
併せて、司法書士に依頼できること・できないこともお伝えいたします。

⏰相続手続の主な期限一覧

手続期限
相続放棄の申述(家庭裁判所)相続開始を知った日から3か月以内
根抵当権の債務者変更登記(金融機関・法務局)相続開始から6か月以内
相続税の申告・納税(税務署)相続開始を知った日の翌日から10か月以内
相続登記(法務局)相続開始を知った日から3年以内

※期限の起算日は「被相続人が亡くなったことを知った日」を基準にするのが一般的ですが、例外もあります。

(1)相続人の調査

被相続人(亡くなった方のこと)の財産は、基本的には相続人が引き継ぐことになります。
誰が相続人に当たるかは、民法に定めが有ります。

相続人の調査のためには、
・被相続人の「出生から死亡まで」の戸籍(原戸籍・除籍を含む)
・相続人全員の現在戸籍

・亡くなった相続人がいる場合、その者の「出生から死亡まで」の戸籍(原戸籍・除籍を含む)
を役所で収集する必要が有ります。
(収集した戸籍等は各手続で提出するためにも必要です。)

(2)遺言書の有無について確認

被相続人が遺言書を遺している可能性もあるため、その有無を確認する必要が有ります。

遺言書とは、被相続人が自身の財産について、誰にどのように分けるかを書いたものです。
分ける相手は、相続人に限らず、相続人以外の人・法人を指定することも可能です。
被相続人が遺言書を遺している場合、原則として、その内容に従って手続きをすることになります。
※ただし、遺言書の内容と異なる相続手続を希望する場合、その可否についてご相談ください。

(3)遺言書について、家庭裁判所の手続(検認・遺言執行者の選任)

遺言書にはいくつか種類が有りますが、主に「公正証書遺言」「自筆証書遺言」である場合がほとんどです。
「公正証書遺言」→公証人が作成したもの
「自筆証書遺言」→被相続人が自ら手書きしたもの

◎「自筆証書遺言」の場合、家庭裁判所で「検認」という手続をしてから、相続手続に使用することになります。
(「公正証書遺言」の場合は、検認手続は不要)

◎遺言書の内容のとおりの相続手続を特定の者(「遺言執行者」といいます。)に任せたいとき、家庭裁判所で「遺言執行者の選任」の申立をすることができます。
(ただし、遺言書に遺言執行者の定めも有れば、家庭裁判所の手続を経ずに、その者に任せられることがあります。)

(4)相続財産の調査

相続財産(被相続人の財産)について、何があるか確認しましょう。
主な相続財産として、不動産・預貯金・株式・自社株などが挙げられます。
また、債務が有ることもあります。

◎相続財産の額によっては、「相続税の申告」が必要になる可能性が有ります。
→⏰相続税の申告が必要な場合、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人の死亡日)の翌日から10か月以内に申告・納税をする必要が有ります。
必要であれば、税理士をご紹介いたします。

◎債務が多い場合には、「相続放棄」を検討することにもなるでしょう。
→⏰相続放棄をご希望の場合、原則として、相続の開始があったことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所へ申述をする必要が有ります。

(5)遺産分割協議

遺産分割協議とは、相続人全員で相続財産の分け方について合意することです。
※ただし、遺言書がある場合、原則として遺言書の内容が優先されます。(2)をご参照ください。

合意ができたら、相続人全員が遺産分割協議書に実印を捺印する必要が有ります。

◎(8)の事情がある場合には、遺産分割協議より先に(8)の手続を行う必要が有ります。

(6)相続登記

かつては、この相続登記をすることは“権利”であったため、名義変更をしないままの方もいましたが、2024年4月1日より、相続登記は“義務”となりました。
*2024年3月31日以前に亡くなられた方の不動産についても、義務となります。
→⏰相続登記の期限は、相続開始から3年以内が目安となります。【「相続登記義務化」についての詳細】


相続登記については、ご自身で進めることも可能でございます。
ただ、ご自身で進める場合、おおよそ法務局へ3回前後通いながら、進めれらる方が多いかと存じます。

(7)根抵当権について、債務者の変更登記

被相続人が、根抵当権の債務者になっている場合、⏰亡くなってから6ヶ月以内に「債務者の変更登記」をすべきケースが有ります。

例えば、被相続人がアパート経営など事業をしていて、金融機関から継続的に借入れをしている場合に、相続人がその事業を引き継ぐようなケースでは、この変更登記をしておく必要が有ります。

この変更登記を6ヶ月以内に済ませるには、速やかに段取りを進める必要がございます。
該当する方は、お早めにご相談・ご依頼ください。

(8)相続人が遺産分割協議に参加できない場合

相続人が以下のケースに当たる場合、家庭裁判所での手続が必要になる可能性があります。【家庭裁判所の手続についての詳細】

・相続放棄をしたいとき   → 相続放棄の手続 (*期限があります。)

・相続人が未成年者のとき  → 特別代理人の選任

・相続人が認知症などの理由で、判断能力や意思能力を欠くとき → 成年後見の申立

・相続人が見つからないとき → 不在者財産管理人の申立

上記などの理由により、相続手続がスムーズに進められないときは、お気軽にお問い合わせください。

(9)併せてお勧めする登記手続

◎完済している(根)抵当権が有りましたら、その(根)抵当権の抹消登記

◎相続人の登記名義について、住所・氏名が変更前のままである場合、住所・氏名の変更登記