「登記権利情報」「権利証(権利書)」「登記識別情報通知」(違い)とは?

愛知県犬山市/名古屋市丸の内 の司法書士 丹羽一樹です。
今回は、不動産の権利証(権利書)について説明させていただきます。
司法書士に登記手続きをご依頼いただいたとき、手続き完了後、司法書士から「登記権利情報」という冊子を渡されることが多いと存じます。
「登記権利情報」とは?
司法書士がまとめた冊子のタイトルとして「登記権利情報」という言葉が使われることが多いですが、実は「登記権利情報」という言葉自体に深い意味はございません。
「登記権利情報」は法律用語ではなく、その冊子を指す言葉として“便宜上”使用されている言葉です。
大事なのは、その冊子の中に入っている「登記識別情報通知」です。
「登記識別情報通知」とは?
法務局は、所有権などの権利取得の登記をされた方に対し、「登記識別情報」を不動産ごとに発行します。
「登記識別情報通知」とは、この「登記識別情報」を記載している用紙を指します。
見本はこちら(法務省のページ)です。001131095.pdf (moj.go.jp)
「登記識別情報」とは、数字・ローマ字を組み合わせた12桁の記号のことです。
この12桁の記号は、将来、不動産の売却や担保設定などの登記を申請をする際に、法務局に対し提供する記号となります。
パスワードのようなイメージです。
「登記識別情報通知」は、この「登記識別情報」を袋綴じにより目隠しされた状態で法務局より渡されます。
この12桁の記号を憶えたりする必要は一切ありません。
目隠しを剥がさず保管することをお勧めいたします。(ただし、剥がしても無効になる訳ではありません。)
仮に、他人がその12桁の記号を把握した場合、その他人は「あなたの権利証を持っている」のと同じ状態と言えます。
つまり、厳密に言うと、「登記識別情報通知」という用紙自体が重要なのではなく、そこに載っている12桁の記号を認識できることが重要と言えます。
(ただし、他人があなたの「権利証を持っている(12桁の記号を認識している)」状況だとしても、あなたはその不動産の所有権が無くなったことにはなりませんし、その他人が不動産を勝手に売却するようなこともできません。)
*ちなみに、「登記識別情報通知」は数年前にマイナーチェンジしており、数年前までは袋綴じではなく目隠しのシールが貼られたものが発行されていました。
しかし、この目隠しシールを剥がすべきときに、上手く剥がし切れず12桁の記号がはっきりと確認できないという事態が数多くみられたため、改定されました。
なお、この当時に発行された「登記識別情報通知」をお持ちの方で、実際に上手くシールを剥がせないときでも、登記を受け付けるような対応がなされています。(当然のことと言えますが)
では「権利証(権利書)」とは何か?
実は「権利証(権利書)」という言葉も法律用語ではなく、正確な言葉ではありません。
世間一般的には、「不動産の権利(所有権など)を証明するもの」という意味合いを指しており、具体的なものとして「登記識別情報(通知)」と「登記済証」のことを指しています。
「登記識別情報(通知)」については、上記の説明のとおりです。
「登記済証」とは、昔の制度の権利証であり、今から15年~20年くらい前まで法務局が発行していたものです。そのときの法改正により(不動産の所在地によって、法改正の施行のタイミングが異なります)、改正後からは「登記済証」ではなく、「登記識別情報通知」の発行に切り替わりました。
「登記済証」のイメージは、法務局の赤い受付印の押されたものです。
なお、昔に発行された「登記済証」は今も有効なものに変わりはございませんので、(売却をしていない限り)重要な書類のままです。
(新たに「登記識別情報通知」に発行し直されている訳ではありません。)
まとめ
*「権利証(権利書)」とは、「登記識別情報(通知)」や「登記済証」のことを指す。
*「登記識別情報(通知)」は、目隠ししたまま保管する方がベター
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