住所変更登記が義務化されました(令和8年4月1日から)-「スマート変更登記」「検索用情報」とは?-

住基ネット、検索

名古屋市中区(錦・丸の内)の司法書士 丹羽一樹です。

令和8年4月1日から、不動産の所有者について、住所や氏名が変わった場合の変更登記が義務化されました。

最近、
「住所変更登記が義務化されたと聞いたけど、何が変わったの?」
「司法書士から『メールアドレス』について説明を受けたけど、何か関係あるの?」
というご質問をいただくことがあります。

今回は、この制度について簡単にご紹介したいと思います。

■そもそも、登記の名義とは?

不動産を購入したり、贈与を受けたり、相続したりなどして、不動産を所有することになった場合、(司法書士に依頼して、あるいはご自身で)登記という手続をされたことがあるかと思います。

登記簿には、その不動産の所有者についての氏名・住所が記録されることになります。

ただし、これまでは、氏名・住所は変更があっても、登記簿の氏名・住所が自動的に変更されることは有りませんでした

ちなみに、「住所」とは、住所登録をしている(基本的に)住まいにしている所のことです。
所有をしている不動産の“所在地番”と少々意味が異なります。不動産の“所在地番”とは、不動産の場所を指しています。

■ これまでとの違い

そのため、引っ越しをして住所が変わったり、結婚(養子縁組)で氏名が変わった場合、住所変更登記や氏名変更登記の手続をする“必要性”がありました。

もっとも、義務ではありませんでした。
そのため、登記簿を見ると、何十年も前の住所のままになっていることも珍しくありません。

しかし、令和8年4月1日からは、住所や氏名が変わった場合、原則2年以内に変更登記をすることが義務となりました。

■変更登記の“必要性”と“義務化”の違いとは?

今回の義務化の以前も以後も、住所や氏名が変更されれば、その変更の“必要性”があります。

では、これまで「必要性があるのに義務化ではなかった」というのはどういうことでしょうか

「必要性がある」というのは、「手続き上、どうしても住所・氏名の変更登記を行わないと、その先のことを進められない状態」であると言えます。

例えば、不動産の所有者が不動産を売却したいとき、登記に記録されてる所有者の住所が過去の住所のままであると、そのままでは売買の登記はできず、売却時現在の所有者の住所に変更をする必要性があります。
逆に言えば、このような必要性がないときには、住所の変更登記をしないままでも問題が有りませんでした。

しかし、今後は、このような必要性にかかわらず、変更登記をすべきとなります。それが「義務化」ということです。
そして、変更日から2年以内に変更登記をしない場合、5万円以下の過料となります。

では、なぜ今回このような義務化がされたのでしょうか。

背景には、所有者(の所在も含め)が分からない土地が全国で増え、売買や公共事業などに支障が生じているという問題があります。

また、売却などの場面で、長年住所変更登記がされていないことにより、手続きが複雑になるケースも少なくありません。

こうした問題を減らすため、住所・氏名変更登記が義務化されることとなりました。

■ 「検索用情報」とは?

最近、不動産の売買や相続登記をされた方は、司法書士から

  • 氏名
  • ふりがな
  • 生年月日
  • メールアドレス

などを尋ねられた方もいらっしゃるかもしれません。

これが、「検索用情報」です。

令和7年4月21日から、所有権保存登記や所有権移転登記などの申請手続きの際には、この検索用情報を申し出ることになりました。

今後、法務局はこの検索用情報を用いて、住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)から住所変更や氏名変更を確認するようになります。

これにより、将来住所や氏名が変わった際、法務局が職権で変更登記を行うようになります(「スマート変更登記」と言います。)。

詳しくは 「不動産登記における「検索用情報の申出」が始まります(令和7年4月21日から)」の記事をご覧ください。

なお、登記簿として公開される範囲は住所・氏名のみであり、その点はあくまで変更は有りません。

ふりがな・生年月日は、法務局が役所に照会をかける際に使用する情報であり、メールアドレスを含めて公開される訳ではありません

■ もう住所や氏名の変更登記は自動的にされるのか?

ここは少し誤解されやすい点です。

スマート変更登記の制度が始まったとはいえ、必ずしもすべての登記簿の住所・氏名が自動的に変更される訳ではありません

検索用情報を届け出ていることが前提となります。

法務局は住基ネットの情報を確認して、本人への意思確認を経た上で、職権による変更登記がされます。

また、法務局が住基ネットの情報を確認するのは、2年に1回程度となります。
そのため、引越しをして住所を変更しても、すぐに登記簿の住所が反映される訳ではありません
職権で変更登記をされる前に、(上記で触れたように)売却などをする際には、変更登記を自身で(あるいは司法書士に依頼して)申請する必要が有ります。

■ 私が感じること

実務では、不動産を売却する直前になって、「登記簿の住所が30年前のままだった」ということも珍しくありません。

そうなると、昔の住所から現在の住所まで繋がる資料を集めるために、思った以上に時間がかかることがあります。

今回の制度は、そうした事態を減らしていくことにも役立つのでは、と感じています。

■ 最後に

住所変更登記の義務化は、単に「義務が増えた」という制度ではありません。

将来の手続きを円滑にするため、そして所有者不明土地を減らすための改正でもあります。

最近、不動産を取得された方、「検索用情報」の記載を求められた方は、ご参考にしていただければ幸いです。

\ 最新情報をチェック /

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA